「eスポーツ」のトップドライバーがロードスターで本格レースに挑戦 暑い、横G、振動に耐えた初参戦19歳の記録
6月16日(日)、栃木県にあるモビリティリゾートもてぎでサーキットデビューを果たした異色のドライバーたちがいた。
約7500人の中から選ばれた6人の若者たち。
じつは彼らは、「eスポーツ」の世界で速さを見せるトップドライバー。
eスポーツ(esports)とは、「エレクトロニック・スポーツ」の略称で、広義では電子機器を用いて行う娯楽、競技、スポーツ全般を指し、コンピューターやビデオゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉える際の名称だ。
そのeスポーツのトップドライバーたちに目を付けたのが自動車メーカーのマツダ。
eスポーツ経験者を選抜し、本格的なレースに参戦させるというプロジェクト、「バーチャルからリアルへの道」を立ち上げたのだ。
6人の若者たちは、このプロジェクトにより、本格的なモータースポーツの世界に飛び込んだのだ。
マツダのブランド体験推進本部・油目雅史アシスタントマネージャー(36)はその目的を語る。
「モータースポーツに憧れてはいるのだけど、何から初めていいか分からないし、資金面とか、人のつながりとかのチャンスに恵まれていない人が多くいらっしゃる。最近は自宅に(ゲームの)ハンドルを構えて努力される方が増えてきていて、熱量の高い人たちをこういったモータースポーツの世界に引き入れていきたいなと思っています」
ドライバーの1人が石水優夢(いしみずひろむ)さん、19歳。
eスポーツ、グランツーリスモの大会では、常に上位入賞を果たしてきた彼は、幼い頃からモータースポーツのドライバーに憧れを抱いてきた。
自宅の部屋には、レースゲームで使用する専用のシートがいくつも設置してあった。
「最初は、1台だけテレビの前にあって、そこでゲームをやっていました」
中学生の時に初めて握ったゲームのハンドル。自宅でも、レーシングスーツ・ヘルメットを着用し、練習に励んできた。
「実車ってスゴくお金がかかるじゃないですか。そのレースの費用などをメーカーさんがサポートしてくれてありがたいです。スーパーGTやF1を目指して、どんどんステップアップできるように頑張っていきたいです」
初めてのレースに挑む1週間前。
石水さんが乗り込んだのは、軽自動車のトラックだった。
オートマチック車が大半を占める一般自動車の中で、石水さんはマニュアルシフトの軽トラのギヤチェンジを繰り返す。
「ゲームだと回転数が合わなくてもシフトが入るけど、実車だと回転数が合っていないと車に負担がかかるので。マニュアルシフトのギヤチェンジに慣れる練習。1、2、3、4、5速とちゃんと入れられるように」
ゲームでは養えない実戦感覚を軽トラで補うが、不安はつきない。
「ゲームだとリセットがきくけど、実車だとリセットがきかないので。絶対クラッシュしない、そして無違反無事故目指して頑張りたいです」
そして迎えた6月16日、マツダファン・エンデュランス第2戦。
石水さんは4人で運転を交代する2時間30分の耐久レースの2番手ドライバーを任された。
新品のレーシングスーツに身を包み、石水さんのロードスターがコースイン。
最高速度は時速150kmオーバー。
石水さんは臆することなく、タイヤを鳴らしながらコーナーに飛び込んでいく。
しかし、最終コーナー。一瞬バランスを失い、コースの外側にふくらんでしまうミス。いったい何が。
「結構きついというか、想像以上にクラッチのつなぎ方がめちゃくちゃ難しくて…」
それでもその後は、すぐに修正。
バーチャルで磨いてきたテクニックを、リアルのレースでも発揮し、無事走り切った。
初体験のリアルレースの感想は。
「クラッチを離すのを失敗してリアタイヤが流れたんですけど、ゲームでは感じられないGとか、ハンドルからの振動、お尻の感触がすごくビリビリッときました」
チームの結果は19台中7位。
それでもこの経験は、モータースポーツに夢を抱く若者たちの大きな一歩となった。
マツダの油目雅史アシスタントマネージャーも手応えを感じていた。
「車ってこんなに楽しいんだっていうことを、もっと多くの人に伝えたいですし、モータースポーツの楽しさを1人1人に伝えて、次の世代に引き継いでいけるような、そういった流れを大事にして育てていければなと考えています」
レース後、握手をして互いの健闘をたたえ合った若者6人。
バーチャルでは感じられなかった、リアルな体験がモータースポーツの未来へと繋がっていく。
「MONDAY MOTOR SPORT SPECIAL LAP」
フジテレビ 7月13日(土)14:30~15:00
「MONDAY MOTOR SPORT」
フジテレビ系「FNN Live News α」内で放送
毎週月曜23時40分~
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第4戦 静岡県・富士スピードウェイ
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